御旨と海 第55話

アメリカの水産業の士気を高める

 アメリカ年の貿易の伝統は大まかに言って、商船の伝統に基づいています。アメリカとメキシコは、海とそしてまたお互い同士切り離すことのできないきずなで結ばれているべきです。これは何も新しい考え方ではありません。我々はこのことを良く知っておくべきでした。皆さんの祖先は、皆さんが考えているよりも遥かに真剣でした。彼らは宗教迫害に苦しみ、それゆえに命をかけてここにやって来ました。生きてここにたどり着くという保障はありませんでした。いわんや、ここで生き残る保障は更々ありませんでした。

 証拠はどこにでもあります。経済の中心の最大のものは、アメリカの中央つまりシカゴにあるのではなく、海岸線上にあります。例えば、ハドソン川とハドソン湾のあるニューヨーク、そしてサンフランシスコとロサンゼルスです。この国の経済にとって、海が極めて重要なのは明白なことです。

 もしジェット機の出現がなかったならば、我々の海への依存は今よりももっと大きかったでしょう。一体、海をないがしろにしても良いのでしょうか。造船業はどうかというと、全部安い労働力を求め、アラバマか、あるいはその辺りに移動したのですが、今ではほとんど全部の会社が閉鎖してしまいました。現在我々の運動がそこに会社を作っています。どうしてですか。海の再開発がまもなく訪れようとしているからであり、そのための準備をしなければならないからです。アメリカだけでなく、他の諸国についても同様です。我々はブラジルで漁をするための船とマグロの延縄漁用の船を開発しつつあります。今、他の人が皆、造船業から手を引こうとしているけれども、成功の秘訣を持っているのはレベレンド・ムーンだけだということが、まもなく誰にも分かるようになります。だから今我々は基盤を築かなければなりません。そうすれば、ある日人々が目覚めてみると、我々がずっと先頭に進んでいたということになるでしょう。今日の世界では、ある産業がすたれれば、その時には人々はそこから手を引き、去って行きます。しかし我々はそうではありません。そういう時こそ、我々は本腰を入れて投資を始めます。世界には四大漁場というものがあり、そのうち三つまでがアメリカ近海にあります。人々は漁をするのに世界のいろいろな所に行くのですが、アメリカの漁師達は最高の場所に労なくして行くことができるので、彼らにとってそういう苦労はありません。日本、ドイツそしてソ連までも、自分達の市場用に何とか魚を捕りたいと必死になっています。しかしアメリカは、他の国の漁師達が容易に入って来られないように工作します。ところが、アメリカの魚市場は他の諸国に比べて遥かに小さいのです。これでは納得がいきません。

 最善策は日本、ドイツ、アメリカの三か国の間で、漁場権利と市場戦術を併用することでしょう。もしこれらの三か国の間で、今日の水産業の面で責任ある合意に達することができれば、残りの国々はそれを中心にして活動することができます。いずれにせよ、これらの国は漁をするためにやって来つつあり、そのためにアメリカ政府は難しい立場に追い込まれています。彼らは他の人々に入って来てもらいたくないのですが一方自分達の漁船の数は極めて少ないのです。アメリカはこれらの大漁場をうまく活用していません。だから水産業に大量投資している諸国が、いずれにこれらの海域にやって来るようになります。アメリカは自分の漁場を守るためのジレンマに陥っています。誰がこういう状態からアメリカを求めるのですか。レバレンド・ムーンにはできます。彼は若者達を組織化し、アメリカの水産業を発展させるために彼らを送り出します。これが先生のビジョンです。

 ムーニーは、水産業の面でいずれ強力で積極的な勢力となります。破壊するのではなく、それを国際基準にまで引き上げます。だから、アメリカ政府はムーニー達が漁をして成功するのを望まない半面、こういう理由があるので、我々のやることをいずれ奨励するようになります。今、グルースターはレバレンド・ムーンに立ち去って欲しいと思っているのですが、それと同時に、マグロの値段の基準を今まで通り維持したいと思っています。

 韓国人達は釣り用の備品や釣り道具の製作に関しては最も優れています。日本の漁師達は、韓国人達がとても頑強で勇気があるので、最も優れた漁師は韓国人だと言っています。漁をする時、韓国人の肝は座るのです。彼らは大漁を求めて網を一杯に張ります。たとえ網代として百万ドルを失うようなことがあったとしてもそうします。失敗すれば厳しいのですが、成功すればとてつもない成功になります。日本人はそういうことはしません。彼らはとても注意深く計算します。だからチャンスを見逃す場合もあります。

 先生はそういう背景を持った韓国からやって来たので、アメリカの釣り道具会社に注目してみました。そして、どうやったらもっと良いものが作れるだろうか考えざるを得ませんでした。ニューヨークの近辺には船がたくさんあるにもかかわらず、ニューヨーク市にある釣具店の数はとても少ないのです。だからアメリカで釣り道具を売るのは極めて容易でしょう。最終的には、釣り用品ビジネスを中心にニューヨークに高層ビルを建築することもできます。水産業はあらゆる面で改善が要求されています。そして海の産業は我々に開かれています。今基盤を築いておいくならば、将来我々に追いつこうと考えることのできる者は一人もいないことになるでしょう。時が経つにつれて「ムーニー達と競争できる者は誰もいません」と人々が言うようになるでしょう。例えば、マグロ漁の現状を見てみましょう。人々は、以前は六時か七時頃起きて海に出かけて行きました。 ところが我々は三時あるいは二時にすら起きています。人々は我々の重労働を見たら「オーシャン・ビジネスはムーニー達のものです。どうやっても彼らにはかないません」と言わざるを得なくなります。先生が八年前、ここに来たばかりの頃、値段は一ポンドにつき五セントから十セントでした。ところが今では、それが一ポンドにつき二ドルへと上昇しました。我々は大量のマグロを買い、その値段を高める働きをしたので、他のバイヤー達は皆それに従わざるを得ませんでした。これが真相なのです。ビジネスマンの観点からすれば、レバレンド・ムーンは悪い人間なのですが、彼らは漁師のことは何も考えていません。漁師の観点から見ればそうではなくなります。

 マグロの値段は、一ポンドにつき、五ドルあるいはそれ以上にまで上がるべきです。これは水産業全体にとって重要なことであり、マグロの値が上がれば、他の魚の値段も上がらざるを得なくなります。そして他の分野の漁師達にも金儲けのチャンスが訪れます。現在、漁師達は何トンもの魚を捕るけれども、それは一ポンドにつき三十セントから四十セントにしかなりません。一方我々はどうかと言うと、高い値段でマグロを買っています。だから自分でマグロを捕っているにもかかわらず、金儲けになりません。どうしてそういうことをやるべきなのですか。それについては次のように考えてみます。千ポンド近くのマグロ(そしてマグロ一ポンドにつき五ドル)は五千ドルにもなります。このため、多くの若いアメリカ人が魅了されて、ここに漁にやって来ます。そうは思いませんか。既に皆さんは経験を積んでいるので、彼らに教えてやることができます。アメリカの海岸線にある町々が、我々の仕事ゆえにどれだけ潤うかということを考えてみなければなりません。

 先生ははっきりした考えを持っているのですが、大抵のアメリカ人は先生のことが分かっていません。先生は言葉だけで皆さんに何かをやらせるというようなことはできません。だから先生は自分を犠牲にして来ました。どうやったら良いか、皆さんに示すために先生は昼夜なく働きました。そういう必要がありました。人々はそれが分かりました。けれども、彼らはその必要なこともやろうとしません。先生も皆さんにそれを示す必要があったので、皆さんもそれを彼らに示してあげなければなりません。

 先生は人々にやる気を起こさせる方法を知っています。「お父様、私にはできません」などと言ってはいけません。先生はどうやるべきかを皆さんに示しました。人々は先生のぺースについて行こうとするのですが、二十代、三十代の者達にさえそれができません。「お父様、どうやったらそれができるのですか?」と先生に尋ねます。先生はいつも「私はこれを次の世代の者達のためにやっている。そしてこの伝統は何千年もの間持続され、何百万人という人達がその伝統に基づいて生きることができる」と考えています。だからペースがどんなに速くても先生は気にならないのです。

 先生はアメリカでは女性の船長を訓練したいと考えているのですが、もし女性達が一カ月海に行き、それでも夫が逃げ出さない場合、どういうことになるでしょうか。その夫は、妻が帰って来るのを首を長くして持つでしょう。彼は三日経っても逃げ出さず、妻の帰りを待つでしょう。そして喜びを持って彼女を迎えます。先生はアメリカにやって来た時、原理を教える最も良い方法はそれを人々に実際に示すことであり、そしてもしこの伝統を受け継ぐ人が一人でもいれば、すべての人々が先生の教えを理解するようになるだろうということに気が付きました。そういう夫を持った女性は幸福だし、そういう妻を持った男性もやはり幸福なのです。それだけの力を原理は持っています。男性が幸福な時には、女性の心も躍っています。それは悪いことですか。悪いことだ! そうじゃないのですか。皆さんは先生に向かって「良いことです」と叫ぶのですね。皆さんは真実を語っているのだから、皆さんの勝ちです。皆さんはそういうことが好きですか。ではそれを先生が好まないとしたらどうしますか。今度は皆さんは前よりも大きな声で叫んでいます。そうすると皆さんは知っているのですね。皆さんは真理を知っでいます。皆さんは先生が正真正銘、頭の良い男だと思っています。では皆さんはどうなのですか。。もし皆さんの頭が良くなければ、先生に従って来なかったでしょう。しかし、我々の運動は毎年何百万ドルというお金を使っています。我々は船や水産業のことを研究したり若者を教育したり、あるいは水産業を発展させたりしながら、アメリカで金を使いそして投資しているのです。

Atsuki Imamura