御旨と海 第56話

海への真の愛

 真のムーニーは海を愛します。どうしてですか。それは統一運動の指導者が海を愛すからです。レバレンド・ムーンは海を愛しています。だから皆さんがムーニーならば、みなさんも同様にそうならなければなりません。女性達、皆さんはどうなのですか。皆さんは本当のムーニーですか、それともそういう振りをしているだけですか。男性達、皆さんはどうですか。

 子供は親からいろいろなものを受け継ぎます。皆さんはどうですか。先生から何か受け継いだのですか。先生が皆さんの先頭になって、皆さんよりも何日も何カ月も、何年も先駆けて漁をしていたということを皆さんは知りませんでした。もし皆さんが先生よりももっと一生懸命働いているならば、先生の良心は苦しむでしょう。先生は皆さんに対して厳しいです。皆さんを急き立てます。しかしそれでも皆さんは先生から愛を感じます。それは先生が既に皆さんのレベルを越えた所で働いているからです。

 先生が皆さんをひどく急き立てる時でさえ、先生から愛を感じる若者達、手を挙げて。どうして皆さんは手を挙げたのですか。皆さんは気狂いですか。皆さんのような人達を見る時に、先生は救われたような気持ちになります。全部総合して見たならば、ここにいることは幸運なことだと皆さんは思いますか。皆さんはここに来たばかりの頃、秘かに苦しみの顔をしていることを表に現さないのだろうかと不思議がっていたかも知りません。

 あらゆる魚の中で我々はどうしてマグロを選んだのでしょうか。それは一度マグロを釣ったらそれが忘れられないということを先生が知ったからなのです。他のいろいろな魚の場合には忘れてしまうのですが、マグロの場合にはそういうことは絶対にありません。だから若者を引き付けるにはこれが最上の方法だということになります。皆さんはアメリカ人だからここに留まるのです。たくさんの来客があるのですが、いずれ彼らは行かなければなりません。彼らはいろいろな国からやって来るかも知れません。しかし皆さん、アメリカ人が自分の未来を受け継がなければなりません。残りの半生、これが皆さんの責任となります。これが本当に大きな責任分担ですね。

 一度マグロを釣り上げると、皆さんはそれを絶対に忘れることはできません。その瞬間を思い出す時には、必ずそれにまつわるすべてのことを思い出します。だから海と関連させておけば、それらを決して忘れることはありません。我々が海に行く時に、皆が我々を見て「ムーニー、ムーニー」と叫びます。しかし我々がマグロを釣って、他の人が誰も釣れなかった場合、彼らはもう一度我々を見て考えを改めるようになります。ラインにマグロを付けて帰って来た時、我々は「道を開けろ」と怒鳴り付けなければなりません。その瞬間は彼らもそれに従わなければなりません。

 その後、彼らはおとなしくなります。小さなワン・ホープ号がマグロを釣り、大きなヨットに向かって突進している場合、皆さんは「そこをどけ」と叫びます。そうすると彼らもアンカーを上げて、それに従わなければならなくなります。その瞬間、我々は誇りを感じることができます。我々は道を開けてもらい、その上、彼らの尊敬を勝ち取ることになります。

 仮に、マグロがひっ掛かけれどそれを逃がしたとします。家に帰って、他の誰かがマグロを釣って来ているのを知っても、皆さんはそれを見たとすら思いません。そういう経験はとても貴重なのです。皆さんはマグロを釣りたいという思いで一杯になります。マグロのことを考えることなしに、他のことは考えられなくなります。「明日こそ、明日こそ」と言って、皆さんは翌日マグロを釣ることばかり考えます。皆さんは明日のために生き、祈り、汗を流す方的を学ばなければなりません。またマグロのために祈らなければなりません。

 マグロも精神を持っています。もし海を愛しマグロを愛するならば、皆さんは自分の所に彼らが引きつけることができなければなりません。このようにすればできます。チャム用の魚を刻んでいる場合、ただ刻むだけではいけません。彼らのことを考え、彼らに向かって「君達が小魚なので、私は君達が細かく切って大きな魚に与えるのです。私は人類のために漁をしているのであって、自分でそこに降りて行きたいのですが、君達が私の代わりになってそれをやってくれます。だからとても皆さんには感謝しています」と話しかけます。

 このように祈り、このように考えるならば事態は変わって来ます。毎日すべての行動が特別なものになります。「マグロを釣って申し訳ないと思います。しかし私はこれを人類のためにやっているのです」と皆さんはいうべきなのです。皆さんは他の人達がやっていることと同じことをやっているかも知れません。しかし皆さんの心情は異なっています。先生がマグロを釣り、もりを打ち込み、陸地に引き上げるのを見る時、皆さんは「なぜ、宗教指導者がマグロにこういうことをするのだろう」と不思議に思うかも知れません。しかし、先生は捧げ物としてそれを行っています。摂理を助け、我々がこれ以上苦しむことから免れさせてくれます。我々には冗談を言い合ったり、船の上で寝たりすることは許されません。我々の仕事は他の漁師達の仕事よりももっと真剣なものなのです。

 先生がニュー・ホープ号で休んだのは二回しかありません。一度はひどい頭痛がしたので、そうせざるを得ませんでした。しかしその時でさえ、先生は誠実な心でもって祈り、そして許しを乞いました。一度、アラン・ホーカンソンはとても疲れて、運転しながらうつらうつらしていたことがありました。先生が代わりに責任を取り、アランは休みを取ることができました。我々の仕事はそれほど真剣なものであり、皆さんもそのことを知っておかなければなりません。

特別なワン・ホープ号

 マグロを捕るために、先生はマグロと伝達方法を開発しなければなりませんでした。時々「スモール・クラフト・アドバイサリー(強風波浪注意報・小型船は外海へ出てはいけない)」というものが出るのですが、それでも先生は漁に出かけます。どうしてですか、。それはメンバー達が天候が悪いのを見て、漁に行くのを恐れるようになって欲しくないからです。皆さんはもちろん安全に気を配らなければなりません。天候が良いからという理由だけで漁に出ることはできません。目標は到達困難なものであり、とても高い所にあります。それを得るためには、我々は相当の訓練を受けなければなりません。船は訓練方法の一つなのです。ワン・ホープ号はとても頑丈にできています。決して沈みません。先生はそういう船が欲しかったのです。二十人が乗ることができ、大波が襲って来ても、船首の部分は水の上に浮かんでいることができます。救命具を付けて船にしがみついていれば大丈夫なのです。数人乗っていたワン・ホープ号で既にそういうことが確かめられているので、我々はこの船がとても安全で強靱な船だということを確信しています。我々がそのように造りました。誰かに、あるいは何かにぶつかったとしても、この船は壊れません。この船のデザインは先生がやったのですが、その背後には霊感が働いています。またこの船は多目的船であって、トレーラーで簡単に引くこともできます。それは快速モーター・ボートにもなるし、観光用の船やマグロ用の船、漁船、教育用の船などあらゆる種類の船として用いることができます。あらゆるプログラムに使えるし、どんな所でも行けます。これらの船の用途には制限とか、特別の使い方というものがありません。

 ニュー・ホープ号はマグロ用漁船としては、あまり適していません。大き過ぎるし、仕事を複雑にするきらいがあります。しかしワン・ホープ号は丁度良い大きさだし、ラインをそのままにしておくだけで、マグロは船を引っぱるのに疲れてしまいます。先生はこの船のデザインをする前に日本、アラスカ、ドイツなどがあらゆる所を調査しました。

 我々は特定のことを念頭に置いてこの船を造ったけれども、ワン・ホープ号は波を切って進むことができなければならないということがその一つです。それから快速でなければならないし、快速で進む時、船が揺れてはなりません。ある船はそういう問題点を持っているので、先生はそういうことが起きないようにしたいと思いました。これらの理由やその他の理由によって、先生はワン・ホープ号のデザインだけで二年間調査にかけたことになります。

 今、先生はその船を眺めて、とても幸福感を感じます。快速で進んでいる時に急にカーブしても、たいした衝撃を感じません。人間を投げ出してしまうような船もあるのですが、ワン・ホープ号はうまく平衡を保つことができます。何千という細かい点が、この船を他の船とは極めて違ったものにしています。しかし先生がこの考えを最初に持ち出した時、アメリカ人達は「お父様、こういう船のデザインをするためには専門家が必要です」などと言いました。

 最初の船は造船について何の知識を持たないメンバー達によって造られたけれども、他の人達にはそういう真似はできません。我々はますます多くの船を造っている現在、ファイバー・グラスを用いたこのサイズの船を造るに当たって、メンバー達は新しく大胆な伝統が次第に打ち立てられつつあることに気付き始めています。我々は最高品質の部品を用いるので、船の値段は極めて高いのです。このことを皆さんは真剣に考えなければなりません。それは高価なだけでなく、メンバー達の犠牲と重労働の下に造られたものです。ま、先生自らの汗と涙を流してこの船をデザインし、造ったものであることも皆さんは知っておく必要があります。ただ船に乗って出発するだけではいけません。それは間違った態度なのです。今後何年か経てば、これらの船はとても有名になるでしょう。皆さんには今それが分からないのですが、本当にそうなります。皆さんは自分達の船を真剣な態度で扱わなければならないし、その船に大きな誇りを持っていなければなりません。将来、皆さんの船の記録が研究されることになるでしよう。「このワン・ホープ号は何本のマグロを捕ったか」と人々が聞くようになります。そうしてそれらの船の中の一隻がその大半を捕り、非常に有名になることでしょう。どの船がそうなるでしょうか。皆さんは未来のことを考えながら、物事を行わなければなりません。

Atsuki Imamura