御旨と海 第52話

誰が海を受け継ぐのか
1983年 7月 3日 グロースター


 先生に初めて会う人は何人いますか。手を挙げなさい。ありがとう。今日先生は船で来ましたが、それはとてもひどい揺れ方でした。その上ひどい霧だったので、先生の目はまだ焦点が合っていないのです。プロビンス・タウンから一時間半かかったんですが、先生はその途中「方向を知るということは何と重要なことだろう」と思わざるを得ませんでした。霧の中で我々が頼れるのは羅針盤だけでしたので、そのただ一つのステアリングの指示に従って、我々は霧の中を進んで来ました。人生もそれと全く同じなのです。

 人類は全世界で、また何世代もの間――全人類歴史を通していろいろな方法でその方向性を探し求めてきました。今まで人類はあらゆることを試み、すべてに失敗して、ほとんど諦めの境地にいます。その探求心を満足させるものは何もありませでした。しかし今日我々はその範囲をより狭めることができ、自分のことがもっと分かるようになりました。我々は方向性を知る前に、まず自分達の到着点と目的を知らなければなりません。方向性について関心を持つ前に、まず自分の目的を知る必要があります。

 どのように生きるのかについて結論を下す前に、まずなぜ生きるのかについての結論を下さなければなりません。この疑問を全人類はその誕生以来ずっと問い続けています。宗教人達は少なくとも神様を受け入れているので、自分達の人生は神様の目的に何らかの形で奉仕することだということができます。しかし神様を信じてさえいない人達がいます。その人達に、人生について本当に教えることができる人は誰もいません。

人生の目的

 この疑問は限りなく問われ続けてきました。偉大な学者達でさえ、それに答えることができないでいます。ここいる皆さんは普通の人間です。そしてそれ以上に普通のムーニーであるに過ぎません。皆さんは答えを知っているのですか。何の目的で生きているのか、皆さんは知っていますか。皆さんは原理をいくらか理解しているので「お父様、創造目的を成就するために我々は生きています」というかも知れません。ではその目的とは一体何ですか。我々の教会では、神様の摂理について考えれば、すぐに四位基台の確立が頭に浮かびます。神様の目的の完成は四位基台の完成です。四位基台とは何ですか、それはどういう意味ですか。

 最初に男と女が完成すれば神様は自分の理想を実現することができます。ではその理想とは何でしょうか。二人が、つまり一人の男と一人の女が完全な愛によって一つになる時、それが神様です。分かりますか。男と女が完全な愛によって一つになる時、そこにあるもの、それが神様です。男と女の愛は何を中心にしているのでしょうか。男? それともアメリカのように女を中心としているのですか。違います。皆さんはそう思わないのですね。ではその愛は誰を中心としているのですか。皆さんは「神様」と呼んでいます。そうです、その通りです。男と女の愛、二人の間の愛は神様を中心にしています。

 まあ、とにかく男と女が一体化したとします。では愛はどこから来るのですか。それは最初、男から来るのですか、それとも女からですか。どちらでもありません。ではその愛は誰に属していますか。これも皆さんの答えは正しいですね。そうです「神様」です。だからその愛に触れる場合、自分の好き勝手に扱うことは許されません。それは第一に皆さんのものではないのですから、大切にまたは尊敬しなければなりません。それは皆さん以外の所からやって来ます。では愛はどういう経路で皆さんの所に達するのでしょうか。それは皆さんの所へ直接来るのですか。神様から直接来るのですか。どのようにして愛は皆さんの所にやって来ますか。人はたくさんの愛を持っているかも知れません。しかしそれは神様から自分の配偶者を通してやって来ます。簡単です。ここに一人の人間がいるとします。彼にはすべてが備わっているとします。しかし自分一人では満足できません。愛を得るためには他の人を必要とします。それが愛というものの性質です。皆さんは愛について考える時、それが皆さんからではなく、皆さんの配偶者から来るものであるということを認識しなければなりません。それは男でも女でも同じです。まず授受作用がなければなりません。次に統一があって、それから愛が生まれます。皆さんは愛がある場合、それはいつまでの他の人のおかげなのです。そのことを皆さんは心に留めておかなければなりません。

 愛がある所には必ず押す力と引く力があります。ここに初恋をしている一人の男と一人の女がいるとします。男は女にすべてを与えます。女もまた男にすべてを与えます。彼らは相手のために自らを犠牲にします。それでは神様はどこにいるのですか。その中心です。神様は男と女を一つにする力があり、相手のために自らを与えようとさせる力でもあります。

Atsuki Imamura