御旨と海 第37話

 ワン・ホープ号でさえ最終的な基準ではありません。先生は今、それを改善する方法を研究しています。バランスの取り方が難しいというのが一つの問題点なので、改善されなければなりません。我々はそれを研究して、その問題を改善する必要があります。あらゆる訓練に役立つような船にしたいと先生は考えているのです。また先生は、船が波をどうやって切るのかについても調べています。船がもっと早く進めば、一度に三つの波を切ることができます。今は二つの波を切ることができます。ゆっくり進むならば、一つずつ波を切って行かなければなりません。先生はこれを既に試験しました。もし船が三千五百回転で進むならばもっと安定するし、波の切り方もきれいになります。

 皆さんはワン・ホープ号を改善するための何か良いアイデアを持っていますか。この船をもっと研究し、改善作業も最高のものにしましょう。もう既にデザインは立派だから、この国の船舶展示会に出品しても、とても良いというコメントをもらえるはずです。我々は特別の目的を持ってワン・ホープ号を二十八フィートにします。そしてトレーラーを使ってこの国のどんな所でも引っ張って行くことができるので、その保管はいたって易しいのです。このようにして、我々は一つの町から次の町へ移動することもできます。しかしもっと大きな船になると少々困難になります。二十八フィートの船は二十五ノットの風までは安定しています。いずれにせよ、それより強い風の場合は釣りには適さないので、二十八フィートの船はあらゆる種類の漁に適するのに優れていると言えます。

 この船のユニークな点は絶対に沈まないということです。こういう船の使用方法には限界というものがありません。家庭教会としても優れています。家族全員がこの船を使うことができます。またほとんどどこへでも行くことができます。どんな家族にとっても、極めて便利で素晴らしい船なのです。だから先生はそういうデザインにしました。他の船を大量生産するようになったならば、皆さんはそれを自分の個人ビジネスとして売ることができます。またマスター・マリーン会社を通して、皆さんの地域のその船を買いたい人たちのために発注してやることもできるのです。

 しかしこういった努力を軽々しく扱ってはいけません。既に古くから確立されている産業において、新しい伝統を打ち立てるのは非常に難しいことです。だからそれは極めて注意深く研究する必要があります。お金が問題ではありません。重要な点は我々にその能力があるかどうかです。ワシントン・タイムズが一つの良い例です。我々のメンバーは雇われた人達ほど能力はありませんでしたが、新聞社の行くべき方向性を管理統制することができました。我々にとってはそれが重要な所です。皆さんもそういう人、つまり多くの人達を管理し面倒を見ることのできる人になる必要があります。人生のあらゆる面において人々を導くことができなければなりません。

 物にも同じ原理が適用されます。あらゆる船の基本公式を作り、船の管理に当たってその基準に従います。エンジンと船の修理費は高いので、修理しなくても良いように最善を尽くさなければなりません。皆さんはエンジンと船を定期的に点検する必要があります。西海岸や東海岸、そしてメキシコ湾岸の各地区が、船舶いじのためのシステムを作るべきです。皆さんの中で何人の者がエンジンの修理ができますか。各海岸地域につき、1人の巡回師が任命されなければなりません。エンジンが壊れた場合、その壊れたエンジンを修理している間、他のエンジンを使うことができるように、少なくとも3つの補助エンジンを用意しておく必要があります。皆さんは徹夜してでもエンジンを一晩で修理できなければなりません。

 助けが必要ならば、船に責任を持っている人に来てもらって一緒に徹夜をします。そして「徹夜してでも一緒に働くように」というように、船に責任を持っている人達への指示は巡回師が与えることができます。皆さんにはそういう経験が必要です。巡回師はやり方を皆に教えなければなりません。もしエンジンが再び同じやり方で壊れたならば、そのエンジンをどう扱いどう修理するのかをもう一度皆に教えなければなりません。

 エンジンが最も重要なのです。エンジンが良くなければ船は使えません。各地区の修理員が船の壊れた場合に即座に向かわなければなりません。エンジンの修理に自信のある者は今ここにいますか。皆さんは、ガソリンとディーゼルの両方を学ぶ必要があります。「私はガソリン・エンジンは修理できるが、ディーゼルは修理できません」などと言うことは許されません。両方共修理しなければなりません。またエンジンの修理ができる者達は電気についても知っておく必要があります。電気系統のおかしな所は何でも修理することができなければなりません。ワン・ホープ号はとても小さいので学ぶ所がほとんどありません。

 しかしこのコースを通過して経験と技術を積めば、大型船の管理と修理の商売を始めることができます。トロール船や大きな船を修理することができます。また何でも修理できるように自分を訓練することもできます。エンジンの故障には共通点があります。

 各センターは一隻の船から始めます。その船がもし故障したならば、それを修理します。二隻の船があり、一隻が古くて故障したとします。その時皆さんは新しい方の船を使って出かけてはなりません。古い方の船を修理してそれを用いなければなりません。それが伝統です。古い方の船が壊れたならば、その船を修理するためのお金を集めなければなりません。そうすることにより、責任を持つという伝統を皆さんは学ぶことになります。

 船の番号、部品の番号、エンジンの番号、すべての目録を作ります。そうすれば修理に必要な部品を番号によって注文することができます。そういう在庫目録システムを組み、工場との関係を維持していきます。ニューヨークに控えのエンジンがあり、カリフォルニアが特定の部品を必要としていれば、ニューヨークに注文を出してそれを夜行便で送ってもらえば良いのです。そうすれば、壊れてから二日以内に船を修理することができます。そういうシステムを我々は開発すべきです。一年経ったならば、どの部品が壊れやすいか分かるようになるので、その部品をストックしておくことができます。電気系統についても同じことが言えます。すべてワン・ホープ号に使われる部品は皆、番号によってリスト・アップする必要があります。これにはドア、アンカー、消火器などすべてが含まれます。そうするとどういう物が紛失しやすいか、どういう所が壊れやすいかを記録することができます。また番号システムを統一し、すべてのセンターがそれを使用しなければなりません。

 この責任は大きいです。我々の将来は偉大なものです。しかし今何をすべきかについては真剣に考えなければなりません。皆さんはいつの日か最大規模の船でさえ修理できるようになるでしょう。また海軍の船も修理できなければなりません。そういう日が来つつあります。各センターの水産活動を直接監督するために、ニュー・ホープ号に乗ってずっと航海して回ろうかとも先生は考えていますが、それはできないかもしれません。しかしわれわれはシー・ホープⅠ、Ⅱ、Ⅲを持っています。そのうちの一隻が旗艦として各地区へ送られなければなりません。そうすればワン・ホープ号とシー・ホープ号に乗って、夜通し一緒に漁をすることができます。また自分の地区で、それらの船を使ってワン・ホープ号の全活動について教えることができます。各センターとも出発準備のできたワン・ホープ号を少なくとも一隻は備えていなければなりません。そうすれば先生が訪問した時、皆さんはすぐに出かけることができます。いつでも出発できる準備の整った船を一隻持っていること、これが各センターの守るべき基準です。先生は皆さんの所へ先生の代理を送りたいと思っています。彼が到着したならばすぐに、皆さんは彼を連れて出かけなければなりません。例えばドクター・ダーストとか朴大佐とかが来た時、出発の用意が完全に整っていなければなりません。言い訳は許されません。だから皆さんの地域の漁場を良く調査し、どこへ行くべきかをあらかじめ知っておく必要があります。

Atsuki Imamura