御旨と海 第20話

出発の時は今

 四年前、この家の隣は十四エーカーの土地を買ったのです、我々はこのあたりで最大の土地所有者の一人に入りました。だから人々は興奮しているのかも知れません。しかし我々は、何ら非難を受けるようなことはしていません。我々はここに海洋大学を創るつもりです。そして時は熟しています。アメリカは長い間それを必要としてきました。だから人々は何も文句は言えません。まあ、そのうち分かるでしょう。

 先生の頭の中は、しなければならないことで一杯なのです。皆さんは先生の荷を軽くすることができますか。我々には造れない船というものはありません。鋼船の船、もう造りました。木船、それも既に造りました。ファイバー・グラスの船、それも既に造ったのです。皆さんの言うものなら何でも、数カ月あれば造ることができます。工場をたくさん造れば造るほど、それを運営する人がますますたくさん必要になってきます。それをするのは皆さんなのです。そのように皆さんは考え始めなければなりません。計画を立て、それを実行に移します。工場を買い、給料を支払い、うまく運営し、そして周りの誰よりも高い基準にそれを引き上げます。初めからそのようにするのは、皆さんには難しいかも知れないけれど、皆さんは決して失敗しません。皆さんのするべきことはひとえに、周りにいる人達を育てることです。特別の天才に手伝ってもらう必要はありません。皆さんのための基盤も既に備えられています。皆さんは何百人という人を連れて来る必要はありませんが、確かに何百万人という人を連れて来ることができます。二、三年たったら皆さんにもその方法が分かるでしょう。皆さんがもしやる気を失くさず、依然と何か心に引っ掛かるものがあって自らを投入しないとしたら、我々はこういう計画をすべて諦めるべきですか。最初のレベルまで戻って、二十年前にやっていたような伝道をするのですか。それとも先生はもう一度最初から、先生一人で始めなければならないのですか。

 それでは誰が人を連れてくるのですか。今、皆さんは自分の家族の心配をしなくてはもよいと言っても、先生は何も皆さんを否定しているわけではありません。しばらくの間、先生と共に考えて欲しいのです。皆さんは祝福をされれば、家庭を始めてから一年以内に多くの人が子供を産みます。三年以内に多くの人が二人の子供を持つことになります。五年以内には、多くの人が三人の子供を持つようになります。そして多くの家庭が五人、つまり父母と二、三人の子供からなるようになります。皆さんは彼らをどうやって食べさせていくのですか。分かりますか。今、立ち上がって走り出さなければならないことが分かりますね。国全体の基盤について心配する必要はありません。自分のことをやるのです。ここ三年から五年のうちに、皆さんは走り始めるべきてす。それと同時に、先生は自分の責任分担を行います。皆さんが人々を連れて来れば、自分の家族のためだめでなく、将来の数多くの家庭のためにも基盤を築くことになります。この点が皆さんに分からなければなりません。。

 一人、二人の子供だけならば、それほど変化もなくやっていけますが、子供が三人できたならば、いろいろ考えなければなりません。医療費、その他の出費が莫大なものとなります。子供を育てるにはお金がかかりますが、皆さんには養育する義務があります。皆さんは神学校を卒業しないからといって頭でっかちになり、苦労の多い仕事を避けるようになるならば、いずれ後悔することになります。

 それでは先生が皆さんを追い出し「これは皆さんの領域だ。皆さんはそれと生死を共にしなければならない」と言うべきではありませんか。先生は、三十代の初めに過ぎない皆さんを急ぎ立てて、御旨をやらせるべきではないでしょうか。いい年齢ですね。十年たてば、もっと多くの若者達が教会にやって来て、皆さんに一体何をやったのかとたずねることになるでしょう。その時皆さんは何と言うのですか。「私は統一神学校を卒業したんだけれでも、荷が重すぎたので前線には出なかった」そう言うのですか。

 先生の心はせき立てられているのです。ちゅうちょすればするほど皆さんの荷は重くなり、ついには全く身動きが取れなくなります。今最低の場所から活動を始めなさい。そしてそれに心を悩ませてはなりません。皆さんはその場をすぐに抜け出すことができます。先生の気持ちが分かりますか。どうして先生が、突然、ほとんど何の前ぶれもなく、皆さんをここに呼んだか分かりますか。どうして神学校卒業生を全員呼んだか分かりますか。皆さんには伝道の使命が与えられましたが、それが難しかったのですね。どこで皆さんは働くつもりなのですか。どういう地位を皆さんはこなせるのですか。それができないならば、一体皆さんには何ができるのですか。新しい分野を皆さんに与えようと先生は考えています。皆さんは今までと同じようにやっていたいのですか。今まで通りやっていれば、長い間座り続けていれば、皆さんは滅んでしまうでしょう。今まで皆さんは何の行動も起こしませんでした。そして数年が経過しました。皆さんはやろうとしたかも知れないけれど、何の改善も見られませんでした。

 だから今残された道は、何か皆さんのできるのをやってみるということです。もし神学校に行かず、貴重な二年間を伝道に用いていたならば、皆さんは何人のメンバーを増やしていたでしょうか。今まで皆さんは上層階級の人達と付き合って来たけれども、他にもいろいろやることがあります。いずれにせよ、皆さんは神学校を卒業したのだから、その知識を何とか使わなければなりません。

 新しい仕事をするように言われたならば、皆さんはそれに反対しますか。何をやろうとも全身全霊をそこに注ぎ、何らこの実績を上げるのだと決意していないのですか。我々の目的はここアメリカのみならず、宣教師のいる国々の基準をも高めることにあります。だから、我々のアイディアを何か実質的なもので支持しなければなりません。

 先生は廃品回収のビジネスについて真剣に考えました。まず要らなくなった金属を集め、それを再生します。その後、同じことを紙とか他の製品でも行います。こういうものを再生するには大きな工場を作らなければなりません。しかし、この分野を調べていくにつれて、入り込むのが非常に難しいということが分かりました。マフィアが支配していたからです。不必要な犠牲を払わなければならなくなるので、それは良い考えとは言えませんでした。それよりももっと良いものを我々はすることができます。

Atsuki Imamura