真の父母経 第149話

第四節   世界巡回中に送られた真の父母様の手紙

真のお父様は、第一次世界巡回の路程中、韓国にいらっしゃった真のお母様と真の子女様、劉孝元協会長、食口たちに自筆の手紙を送って励まされた。休む間のない旅程においても、一九六五年二月十五日にサンフランシスコから最初の手紙を送られ、それ以降、数十回にわたって手紙と絵葉書などを送られたのである。真のお父様は、それらを通して当時の巡回状況とその時々の感慨を披歴しながら、活動を督励された。手紙からは、特に真のお母様と真の子女様、そして、食口たちに対する深い愛と期待、巡回路程に対する感慨をかいま見ることができる。本部の幹剖たちもまた、手紙を通して真のお父様に活動報告を行った。

真のお父様が真のお母様に送られた手紙

1   お母様へ。故国を離れてから、もう二十日になろうとしています。この期間、多くの歴史を残しながら、日本を経由し、アメリカのサンフランシスコまで来て、新しい文化の生活をたどり、また、多くの名勝地を見物しながら、お母様のことを思い出します。み旨のための複雑な生活の中で、一人、どれほど気苦労が多いだろうかと思います。経験が浅い中では、感動することも、励まされることも多いのは当然ですが、今回の期間、多くの祈りを捧げながら、環境に勝利することをただただ願っています。

アメリカに来て、離れてみると、私たちが互いにどれほど貴い存在かを改めて感じ、互いがどれほど大きな使命を担っているかを、多くの点で体験して、感謝するばかりです。天地の責任と歴史的運命を解決しなければならないという、誰にも代わることができない一組の夫婦であることと、私たちの良し悪しによって全体が左右される、その焦点の上に立っていることは、どれほど重大な生涯の職責でしょうか。

ですから、天に対しては忠孝の道理を果たし、地に対しては努力の限りを尽くし、歴史的な願いに対しては解怨成就しなければならないという立場を、末永く輝かせる夫婦にならなければなりません。この重大な責任を果たそうと、私は日本の食口の前でも、アメリカの食口の前でも、天のみ前でも、精誠を尽くそうと、ただただ努力するのみです。食口たちの切なる表情と誠心を尽くす姿を見るとき、やはり天の子女たちは違うことをひしひしと感じます。その分、真の父母の立場が恐ろしいことを感じます。

考えている多くの問題(の解決)にも、だんだんと慣れてきています。日本の食口とアメリカの食口は、本当に対照的です。詳しい内容は次に持ち越すことにして、省略します。心の中に天国を所有し、それを分けてあげなければなりません。多くの付き添いの人々を慰め、母らしい姿を大きく育んでください。私も、故国が今置かれている立場と外国に対する使命を案じつつ、新しいあすを描きながら、力いっぱい、今回の旅を終えようと思います。

それでは、伝えたいことはたくさんありますが、再会して伝えることができる日を待ち望みつつ、紙面ではここまでとします。いつも平安であることを析りながらこれにて失礼します。一九六五年二月十五日、サンフランシスコにて。

2   お母様、多くの日々が、数える間もなく過ぎ去っていきますね。もうひと月になろうとしています。この間、故国の山河も、思いの中に描く、はるか遠くの異国の地のように感じます。手紙に書かれているとおり、ラスベガスという都市にいます。ここは、世界でも有名な賭博場として知られている所です。朝にロサンゼルスを出発し、アメリカ(本土)で最も高いホィットニー(Whitney)という山で聖地を選びました。そして、一番の盆地になっていて、東半球で最も低い場所として有名なデスヴァレー(Death valley)という所を訪ねて聖地を定め、三時間走って、今ホテルにいるところです。

あすの朝八時にはここを出発し、定めたコースに従って巡回することになるので、そのように承知しておいてください。手紙で連絡する時間もなさそうです。便りがなくてもあまり気にせず、決めた時間に従って、勉強と、自分が直面している多くの重大な問題のために祈りながら、責任を果たしてくれるようにお願いします。

先日、サンフランシスコの住所に(お母様が)送った手紙がロサンゼルスに送られてきたので、しっかりと読ませていただきました。孝進、譽進の便りがうれしかったですよ!やはり、遠く離れると思い出されてしまうのは、どうしようもないですね。妊娠中ですから、気をつけて養生してください。

私は、既に出発した路程なので、アメリカの地でも自らの責任を果たさなければならないという使命感から、きょうとあす、時間を短縮してアメリカ大陸の南部に向かっています。大きな天的使命を果たす日まで、誠心を尽くそうと思います。これまで、アメリカに来てサンフランシスコとロサンゼルスに寄りながら、アメリカの食口たちと大変親密に、特に違和感もなく過ごしてきました。やはり食口ですから、本国と比べてもあまり支障を感じないので、安心してください。これから、アメリカは努力次第です。非常に大きなアメリカ大陸に、天の炎が燃え立つことを心から祈るばかりです。

歴訪の同伴者として、永雲、崔、アメリカの青年二人の合計五人で出発し、ただただ広い道、どこまでも続く道を、三月の一ヵ月間かけて走り、ようやくワシントンDCに到着する予定です。ネバダ州のほかに、いくつかの州は砂漠地帯になっていて、一週間は砂漠の地を通らなければならないというので、しっかりと気を引き締めているところです。特にアメリカで切実に感じたことは、今後の統一教会の運命は、アメリカの地と闘わなければならないということです。高い文化施設と発達した交通機関には、本当に驚かされます。

ですから、私たちの運動の本格的な世界発展は、アメリカを抜きにしては成し得ないというのが、事実として体得されます。韓国はあまりにも小さな国であると感じます。しかし、摂理的な見地から見れば、それも一理あると思いながら、荒廃した故国にもう一度思いをはせ、私たちの使命が大きいことを感じつつ、祈るばかりです。私たちの理念に加わったアメリカの食口は、私が本国で伝えたのと同じです。本国の教会食口たちとその他の問題も、み旨の中で変わりない立場であることを思いながら、現在の立場をしっかり守っていこうと思います。

そのほかに、お母様が苦労して育てた近くの大勢の食口たちからも、責任感が感じられます。どうか、しっかりと面倒を見てあげてください。みな、み旨のための祭物であることを、誰が知っているでしょうか。お母様、本当にありがとうございます。大きな使命のために責任を担っても、変わらずに接することができる素質をもっていることを、本当に天のみ前に感謝します。それをさらに発揮して、大きな発展を実らせる良い期問になることを願うはかりです。

天と私たちの関係がどれほど貴いかを深く体験する機会であると思っています。子供たちにも、お父さんは元気でいると伝えてください。食口たちにもよろしく伝えてください。旅の途中、時間をつくって少しばかり綴りました。どうか体に気をつけて、責任を果たしてください。それではこれで失礼します。一九六五年二月二十五日、ラスベガスにて。

3   孝進オンマ(「孝進のお母さん」の意)、教会の便りも気になります。この間、子供たちと共に何事もなく過ごしていることと思います。復興団の成果はどのようになっているか、知らせてくださったらと思います。か弱い体で責任を果たしているのを見るとき、天はさらに貴く感じられるだろうと思いつつ、遠く、太平洋を越えて韓国の地に思いをはせます。離れれば会いたくなるのが、人情の常のようです。

私は異国の地でも、よく適応するほうなので、万事においてそれほど支障はありません。アメリカ大陸をさらに力強く巡回しています。きょうは、もう三月六日の午前一時五分です。今ちょうど、数百マイルを走り、アーカンソー州のリトルロック(Little Rock)という州庁所在地にあるローズモーテルを宿に定め、しばしこの手紙を書いています。私は、つい何時間か前、他の州で夜八時に聖地を定めました。アメリカに来てちょうど十番目の州に聖地を決定したのです。今回の巡回をしながら、一九六〇年になる前に(韓国を)巡回した時のことが思い出されます。「アメリカの地よ、お前はこの大きな体をかがめ、いつ天に侍ろうというのか」、正にその使命のために、私は力強く天的プログラムを進めています。始めたからには、勝利を収め、世界復帰の基盤を願うばかりです。手紙は書かないと言ってやって来ましたが、もしかしたら期待しているかもしれないと思うと、心が落ち着かず、急いでペンを走らせています。

私たちの使命はますます大きくなります。異国の食口も、本部の食口も同じです。先生に対する態度から、非常に大きな責任を切実に感じています。ですから、お母様が担う重責を案じざるを得ません。一生懸命に勉強しなければなりません。体も健康でなければなりません。たくさん祈らなければなりません。私としては、本当に申し訳なく思っています。か弱い身でありながら、しっかりと付いてきてくれて感謝しています。お母様を連れてアメリカの地を再び訪ねることを思いつつ、しっかり養生してくれるようにお願いします。すべてを天に委ねていきながら、大きく勝利した自己を天のみ前に立てることを願います。いつも安らかであってください。手紙は書けませんが、協会長によろしく伝えてください。それでは失礼します。一九六五年三月六日、リトルロックにて。

4   お母様へ。今、アメリカの首都ワシントンDCでペンを執っています。一ヵ月余りが過ぎました。私は何度も変化の境地を通過してきました。つまり、巡回の路程で毎日忙しいスケジユールをこなしながら、今までにない大きな地形的変化を経験したのです。今回は主に聖地を定めましたが、きょうの十一時までにワシントンDCの聖地を定めることにより、二十一ヵ所を決定したことになります。あとで写真を見せてあげることができるでしょう。

西部から東部まで回ったので、今度は北部に向かって出発する路程が待っています。大きな大陸を一周しながら、人知れず全米の各州に聖地を定めることにより、アメリカにおいて今後、発展があることを願っていますし、またそのようになることを知っています。今回、アメリカの食口たちは、初めて私に会い、様々な面で印象的なことが多くあるようです。いろいろなことを体験しながら、一緒に来ることができなかったことを本当に申し訳なく思いました。しかし、私が道をならしておき、次の機会に一緒に来ればなお良いと思い、またみ旨がそのようになっているので、ただすべてに感謝するばかりです。

人は、離れ離れになっていても、再会することに思いをはせる時間が、大きな助けになると思います。お母様も、多くのことを回想しながら、今後の決意をしたことと思います。私たちがさらにみ旨に孝を尽くす者として、多くの人々の手本になることを決心する良い期間になることを祈るばかりです。さらに、子供たちを連れて苦労が多いと思いますが、感謝しながらそれに耐え、あすを準備し、真のお母様の責任において末永く光を発してくれることを願ってやみません。体に気をつけて、勉強もして、多くのことを祈りながら、気高い責任に対して末永く光り輝いてください。子供たちに会いたいですね。「お父さんを待っているだろうな」と思うたびに写真を見ています!お母様もですよ!子供たちに「お母さん、大好き」と言われる貴いお母様を、私も貴く思います。父親がいない間にたくさんの体験をして、うれしい便りを聞きたいです。

アメリカにいる食口たちも勇ましいです。本部の食口たちが、一生懸命に責任を果たさなければならないことを感じます。きょう、十四日は日曜日なので、夕方、集会をします。十二日には六十数人来たので、夕方もそのくらい集まるでしょう。アメリカも努力次第で将来が決まります。本部の近況を教えてください。すぐ、北米の州の巡回に出発しようと思います。家族と地区長たちや食口たちに、手紙を書けなくて申し訳ないと伝えてください

ワシントンDCの気候は、韓国の気候に似ています。きのうは多くの場所を見学しました。ホワイトハウスにも入ってみました。国会議事堂にも入って見学しました。いろいろな面で非常に参考になりました。将来の希望を描きながら、都市を回りました。それでは、また次の機会に。お元気で。一九六五年三月十四日、ワシントンDCにて。

Luke Higuchi