真の父母経 第154話

第二章  真の父母様のアメリカ摂理と巡回講演

第一節   真の父母様のアメリカ摂理出発

困難を経て実現したアメリカ路程

第三次世界巡回は、真の父母様がアメリカに滞在しながら世界宣教活動を主導するために推進されたが、序盤から難関にぶつかった。韓国出発から、日本を経由してカナダ、アメリカ到着に至るまで、多くの困難が伴ったが、奸余曲折の末にアメリカに到着され、アメリカを中心とした世界宣教の陣頭指揮を執られるようになったのである。

1   一九五九年に、世界的基盤を築くため、アメリカに宣教師を配置しました。宣教師たちが責任を果たしていれば、相当な影響を及ぼしたでしょう。私がアメリカに行って、二一年路程を通して血を流す路程を経なくても、難なく勝利できる基盤を築いていたのです。急がれる天のみ旨と天的な使命を知っていましたが、アメリカにいる宣教師たちを中心としては、アメリカを手際よく処理できませんでした。彼らはアメリカを相手にすることができないというのです。それで一九七一年にアメリカに行く時、神様と約束をして出発しました。韓国と日本を突破したので、アメリカを突破しなければならないと考えたのです。

2   私たちが最初、韓国から日本に出発しようとした時が、韓国政府が国家非常事態を宣言(一九七一年十二月六日月曜日)する正に前日でした。よくよく見れば、事態が切迫しているというのです。それで、出発しようとしたのですが、日曜日で手続きができないのです。外務部旅券課課長の決裁を受けておかなければならないのですが、受けていませんでした。日曜日だとしても出発しなければならないのに、認証書がないので出発できなかったのです。ところが、出国三十分前に旅券課の課長と会うことができました。それは天の役事です。

3   一九七一年に、私がアメリカに出発する時には食口たちに話しませんでしたが、神様の特別な命令があり、三年間で、アメリカに対する世界史的な使命を果たさなければならない責任を感じて、アメリカに向かいました。アメリカ国民に対して、どのように三年間で新しいキリスト教、新しい信仰の道へと向かうように方向を設定してあげるかということが、神様の求めるみ旨であると知ったので単独でその巨大な国に行ったのです。

行く道がどれほど大変だったか、金浦空港を出発する時から問題が起こりました。その時、出発できなかったはずなのですが、特別な縁が結ばれて出発できました。そして、日本に寄ってみると、そこでも問題が起きました。アメリカに入ろうとすれば、ビザがなければならないのですが、ビザが出なかったのです。入らなければならない神様のみ旨があったので、どのような冒険をしてでも、アメリカに入らなければなりませんでした。

それが思いどおりに行かないので、カナダに入ってその道を開こうとしました。それで、カナダにいる統一教会の食口たちを前に立てました。私に対して、アメリカ国務省が何を理由に入国許可を出さないのかを、カナダにあるアメリカ大使館に行って調べたのです。

アメリカ国務省から来た報告は、「レバレンド・ムーンは一九六七年以降に、共産勢力と一つになって協助した前歴があるので、入国させることはできない」というものでした。誰かが、統一教会の文某という人は共産党と手を組んで協助したという報告をしたのです。それで、それに対して抗議しました。アメリカの上下両院議員たちに電話で連絡を取り、彼らを通してカナダにあるアメリカ大使館を四方から攻めたのです。

ですから、彼らは国務省に連絡したのですが、その時、かなり大きな問題になりました。韓国大使館まで問題になったのです。このようにして、自分たちの報告が事実でないのが明らかになることによって、仕方なく私にビザを出し、アメリカに入れるようになりました。

4   カナダで数日だけでも延長されたとすれば、入ることができません。それを見て、悪の勢力、見えないサタンの勢力が、神様のみ旨を成就しようとするその道に、あらゆる手段で反対していることを如実に感じました。そうして、カナダからワシントンDCに行こうとするのですが、希望する時間に飛ぶ飛行機がありませんでした。

当時、「リトル・エンジェルス芸術団」が、一九七一年十二月十八日にケネディセンターで公演するその時間までに、そこに行く約束をしていました。何としてでも、その時間に合わせて到着しなければならないのですが、飛行機がないので、仕方なく双発機に乗って非常に低く飛び、山合いを通りながら六時間もかかって到着しました。このようにしてアメリカに入ったのです。

アメリカを中心とした世界宣教摂理の背景

一九七一年十二月十八日は、真の父母様がアメリカに入城され、世界摂理の路程を本格的に出発された歴史的な日である。そして、一九七二年から七四年まで、アメリカで活動された三年間は、真の父母様が神様のみ旨を中心としてアメリカを立てるため、渾身の力を注がれた期間である。特に、天の側のアベル国家であるアメリカを中心に、世界宣教の堅固な基盤をつくられたのである。

5   氏族(的)メシヤ圏を立てようとすれば、国家的基準と世界的基準を探し求めなければなりません。神様の代わりにメシヤを派遣するためには、家庭的基準を越え、国家的基準を越えて、世界的基準まで行かなければなりません。神様は、一度選んだ人が失敗すれば、二度と再び用いることはありません。二度と使うことはないので、イスラエルの民も四十年間、二世を通して役事をしたのです。失敗した一世を再び立てることはできません。キリスト教がお父様と一つになれないことにより、四十年を中心として、蘇生旧約時代と長成新約時代をサタンにすべて奪われたので、基盤がありません。旧約イスラエル圏、新約キリスト教圏ができあがってこそ、成約完成圏が立てられます。蘇生と長成が立てられたあとに完成が立てられ、旧約と新約の上に成約が立てられるのです。ところが、それが完全にサタン世界に行ったので、再び取り戻してこなければならないのですが、それを一人ですることはできません。アメリカを奪ってくるためには、闘わなければなりません。なぜなら、父母様がアメリカを天の側のアベル国家に定めたからです。父母様がアメリカを選んだので、その期間にアメリカを解放してあげなければなりません。現代のローマであるアメリカを、大韓民国を中心として世界に連結させて、世界的版図を立てなければなりません。アメリカはイスラエルとローマの延長である世界版図なので国家基準と家庭基盤を中心として、全国的な版図を私たちが拡大しなければなりません。

6   第二次七年路程の期間は、国家的基準です。第三次七年路程は世界的基準です。ですから、私は世界復帰路程を行くのです。したがって、世界を回りながら、韓国に寄れるなら寄るのであって、私が韓国に来て闘わなければならない時代は過ぎました。

その代わり、韓国で闘った以上に、世界の舞台でこの三年の期間に熾烈な闘いをしなければなりません。アメリカの朝野を動かさなければなりません。韓国で方向を提示したのと同じように、民主世界を主導するアメリカが今後の行くべき道を見失ってしまったので、私が三年間で基盤を築くのです。統一教会と父母様の家庭を中心とした二十一年路程がアメリカで終われば、統一教会の家庭を中心とした勝利の版図が世界的に現れるでしょう。家庭を中心として編成したので、家庭的世界圏を拡大できる時代に入るというのです。

7   一九七二年から残りの九年を越えれば、統一教会は世界的な宗教として登場するでしょう。これは、皆さんだけがするのではなく、父母様も一緒にするのです。全員が一緒にしなければなりません。

父母様は、今まで杭を打ち込み、縄を掛けておきました。そして、旗を掛けておきました。今年も、アメリカを中心として伝道をするために、ニューヨークに家を買い、今後、ワシントンDCにも家を買って、大々的に世界的な教育を行うことを計画しています。そのようにして、アメリカの上院議員たちや著名な人士たちと連結させるための活動をしているのであり、大学教授たちを中心にアジア協議会から世界協議会をつくるのです。今後、アメリカが共産勢力の活動舞台になることを防備するための準備をしていくのです。

8   復帰は、外的なことからしていかなければなりません。いくら心的な基準ができていても、外的な基準、体的な基準を収拾しなければ復帰ができません。旧教は外的な基準である体の部分であり、新教は反対を受ける立場である心的な基準です。新教のアメリカが、旧教のヨーロッパのすべてのものを、二百年間で受け継いだのです。完全に移して世界の新教と旧教を連合し、外的世界と内的世界を統合して起きたのが第二次世界大戦ですが、ここでキリスト教文化圏が勝利したのです。

歴史始まって以来初めて、内外を統一しました。神様を中心として内外を統一した時は一度しかありません。この時、統一基盤をもったのです。外的世界と内的世界を初めてキリスト教の名で統一した時は、第二次世界大戦終結直後しかなかったというのです。ですから、アメリカの願いは、「神様のもとの一つの国」でした。これは、イエス様が抱いた願いです。イエス様が願っていたのは、イスラエルの国を中心とした「神様のもとの一つの国」だったのですが、失敗したので、カインとアベルであるユダヤ教とイスラエル民族を一つにして、国を取り戻そうとしたのです。これを成し遂げることができなかったので、世界的舞台で国を探し求める立場に立つようになり、「神様のもとの一つの国」という言葉が出てきたのです。

9   私が国を背にし、韓国の食口たちのもとを離れてアメリカの地に一人現れる時のその悲壮な心情は、誰も分かりませんでした。しかし、「あなたのみ旨により、このアメリカ大陸を私の手中に渡してくださり、私の手に握らせてください。私は強く雄々しく歩みます。私の栄光のためではなく、民主世界のために、この国を父のみ前に復帰しなければなりません」と祈ったのです。

ここに暴風雨が吹きつけ、受難の道が何重にも横たわっているとしても、これを回避するのではなく、直行するでしょう。既に、手錠をはめてFBI(連邦捜查局)とCIA(中央情報局)の鉄格子の中で眠ることを覚悟したのです。

10  私は、アメリカに行くやいなや、一九七二年からアメリカで有名な上院議員たち、私が必要だと思う人にすべて会ってみました。彼らを中心として、ホワイトハウスをどのように動かし、上下両院の議員たちにどのように影響を与えるかという問題について祈りながら、今まで信仰の道を開拓してきたのです。アメリカ全体を思想武装させなければなりません。なぜなら、巨大な全世界の共産勢力が、今日、アメリカを最高の敵とみなし、四方から矢を放つ立場にいるからです。アメリカがそれを防ぐためには、神様を中心として、国家的に確固たる精神武装ができていなければなりません。

共産党は神様を否定しますが、マルクス共産主義理論を中心とする経済体制の世界観を中心として現れる一つの宗教形態と同じです。その時代において、物質的に神様のような権威をもって現れるのが共産党です。彼らは、所願成就のためであれば悪魔サタンと同じように行動するので、彼らが行く道には許しがありません。自分にとって妨げになれば、切り捨ててしまうのです。このような共産勢力に備えるためには、天の側でも、すべての国家を代表するアメリカが確固たる精神武装をしなければならないというのです。ですから、彼らに会ってそのようなことを主張したのです。

Luke Higuchi