真の父母経 第129話

第二節   統一基盤と天国実現の土台を築いた一九七〇年代

真の父母様は、一九六〇年代に家庭と教団の基盤を築いてきたとすれば、一九七〇年代には、世界に影響を及ぼし得る国家的基盤を築かなければならないとされ、勝共および超教派運動など、対外的な活動に集中された。そのため、一九七〇年は「勝利的統一戦線」、一九七一年は「統一基盤確保」、一九七二年から七四年までは「統一戦線守護」などの年頭標語を定められた。一九七〇年から五年間は、世界進出のための陣営を整え、本格的な活動を展開する期間であった。特に一九七二年以降、新年をアメリカで迎えられ、四十ヵ都市の講演など、アメリカ中心の世界宣教活動を準備された。そして、一九七五年一月一日、青坡洞一街の旧本部教会で「天国実現」を年頭標語に定められ、第三次七年路程の出発を宣布された。続いて、一九七六年は「子女による天国実現」、一九七七年は「理想家庭による天国実現」、一九七八年は「公式路程を通しての天国実現」、一九七九年は「家庭教会を通じた天国完成」などの年頭標語を通して、理想家庭実現と家庭教会活動による天国実現のための具体的方案を提示された。

勝利的統一戦線

1   今、私たちは一九七〇年を迎えました。今年は、「勝利的統一戦線」という標語を立てて、一年間、走らなければなりません。第二次七年路程の前半期の二年間は、「全面的な進撃」という標語を中心として進まなければならないと言いました。勝利をもたらすためには、全面的進撃という過程を経なければならないからです。そのようにしなければ、勝利できません。

今年は、私たちがアジアだけでなく、世界を中心として際立った活動をしなければなりません。そのような責任を果たすべき時代になったので、「勝利的統一戦線」という標語を立てざるを得ないのです。勝利をするというのは、簡単なことではありません。神様が今まで復帰摂理を遂行してこられた唯一の目的も、勝利するその日を迎えるためでした。アダム家庭からノア家庭を経て、モーセ時代を経て、洗礼ヨハネとイエス様の時代を経て、六千年の歴史をつないできた神様が、今まで闘ってこられたその唯一の目的も、勝利の一時を迎えるためなのです。

2   一九七〇年代を新たに迎えるけさ、ユダヤ教に代わる統一教会が、民族を糾合する使命を遂行するための最初の一歩を踏み出します。今は個人的な勝利の基準が既に立てられ、家庭的な勝利の基準も既に立てられ、氏族的な勝利の基準も立てられました。ですから、今や宗教的な勝利の基盤を決定し、新しい舞台に向かって進出しなければなりません。これは、神様のみ旨をただそのまま迎えることができた、ユダヤ教とイスラエルの国のような時代圏内に入ることを意味します。

このような時代圏を用意するために、神様は歴史を通して今まで準備してこられたのであり、外的世界もそれに符合するように、時代の思潮を導いてこられました。そうして、私たちを引っ張ってきた結果が、今現れている情勢なのです。ですから、私たちが波紋さえ起こせば、新しい歴史がアジアを越え、世界的に反響を巻き起こしていくでしょう。そのようにできる時が、正に一九七〇年代だというのです。

私たちは、今まで怨恨の時代、蕩減の時代、代価を払わなければならない無念な時代を生きてきましたが、この一九七〇年からは、そのようなものをすべて終息させ、新しい歴史時代に入らなければなりません。今まで私たちがこの国、この民族のために闘ったことが、栄光の結実として収められる時が来たのです。

3   皆さんは、個人から勝利的統一戦線を展開しなければなりません。勝利的統一戦線とは、神様の愛を中心として一つになることです。個人の心と体が一つになったとき、そこに神様が臨在されます。このように与え合うところに神様が臨在されれば、そこには必ず繁殖が起きるのです。神様が臨在されないとすれば、繁殖が起きません。天地創造の原則がそうなのです。

すべてのものは神様の愛が動機となって造られたので、神様を抜きにしては繁殖が起きることはありません。与え合えば、そこに神様が臨在され、また繁殖も起きるのです。このような統一戦線を、個人から家庭、氏族、民族、国家、世界に展開していかなければなりません。

現在、統一教会は、民族を中心として、国家を探し求めていける立場まで上がってきました。民族と国家に影響を及ぼすことができる時代圏に来たというのです。世界的な情勢は、万全の準備をして私たちの門前にまで来ています。今や一皮だけ剥ければ、飛躍するようになっているのです。

統一基盤確保

4   一九七一年の年頭標語は、「統一基盤確保」です。言い換えれば、統一の基盤を確保しなければならないということです。このような意味で、この標語を設定しました。今までは「全面的な進撃」や「勝利的統一戦線」という標語を設定し、み旨が外部に向かって進むことができる環境を、一九六〇年以降から十年間、開拓してきました。

一九六〇年以降から一九七〇年まで、それこそ消耗戦をしてきたのです。自分たちの利益のために闘ったのではなく、外的な環境の困難、言い換えれば、統一教会が行く道の前に横たわっている障壁を崩すために、多くの犠牲的代価を払ってきました。

私たちは、ソウルであればソウル、中央であれば中央の最高の位置から出発したのではありません。み旨が願う標準を中心として見るとき、最高の基準から出発しなければならないにもかかわらず、私たちは、この民族と数多くの教団から反対を受けることによって、それとは反対に、最低の末端、下部から出発し、上部へと今まで発展してきたのです。その期間に、数多くの個人が犠牲になったのはもちろんのこと、統一教会の家庭も多くの犠牲を払いました。韓国だけでも、統一教会に属した人々を中心として、その背後にいる親戚や、心情的な基盤を通して関係している数多くの人々が、私たちのゆえに困難に遭いました。

とにかく、私たちは一つの目標を中心として、この国で必要、かつ適切な時を迎えるために、外部に広がっているあらゆる迫害の障壁を崩して勝利の一路を開拓するために、一九六〇年から十年間、あらゆる努力を投入してきたのです。そうして、一九七一年から一九八〇年までの十年間は、私たち自体の中に、強固な基盤を築かなければならない状況に置かれているというのです。

5   私たちの願いは、統一することです。心と体が一つになり、夫と妻が一つになり、息子、娘と父母が一つになり、家庭と氏族が一つになり、氏族と民族が一つになり、民族と国家が一つにならなければなりません。これが統一です。このような基準を立てようとして、一九七一年の標語に「統一基盤確保」を掲げたのです。

統一基盤は、個人から家庭と、氏族と、民族と、国家基準まで広がってこそ、確固として立てられます。それでこそ、神様が統一できる主体的な基準を、国家を中心として初めて立てられるのではないかというのです。

統一戦線守護

6   一九七二年の標語を、「統一戦線守護」という言葉で掲げました。これは、今年が私たちの教会の歴史的な一つの基点になるということです。結論として、「統一戦線守護」とい標語を立てたのは、内部を安定させようということです。

外部の人が全体に責任をもち、何としてでも内部を安定させようとするとき内部は安定するのでありそれによって全体が上がっていくのです。ですから、全世界にいる統一教会の食口たちは、中心のために互いが一つの方向に動かなければなりません。そのような個人、家庭、氏族、民族、国家が多ければ多いほど、個人が世界的であり、家庭が世界的であり、氏族が世界的であり、民族が世界的であり、国家が世界的になるのであり、そのようになるとき、自動的に天国ができるようになります。世界的に現れるのです。

統一戦線を守護するところには、このような原則的な思想的基盤、生活的基盤、活動的基盤ができていなければなりません。そうでなければ、理想的な天国は不可能です。一九七二年から、そのような使命を果たさなければならないことを感じたので、一九七二年の標語を「統一戦線守護」と定めるようになったのです。

7   国家の危機と世界の危機を防ぐためには、防御線を張らなければなりません。それで、「統一戦線守護」という言葉が出てきたのです。韓国に築いておいたあらゆる基盤の上に、世界的に網を張り巡らせなければなりません。霊界が協助しているのです。問題は簡単です。

皆さんは、どれほど団結した立場で、国のために総動員されるのでしょうか。統一教会は、一〇〇パーセント動員されなければなりません。ここにおいては、男性も女性も関係ありません。イスラエル民族がエジプトからカナンの福地に向かって出発する時は、老若男女を問わず、すべて立ち上がらなければなりませんでした。それと全く同じ時です。世界的なカナンの福地に向かって、世界に新しい国の選民圏を形成するために立ち上がるイスラエルの国の出発と同じなので、父母様が指示するところに全体が動員されなければなりません。

8   一九七二年に、私たちは「統一戦線守護」という膨大な(内容をもつ)標語を掲げてきました。この守護の限界線は、自分の一身の限界を言うのではありません。国家が限界線になり、国家を越えて世界を守らなければならないという、重大な使命を背負うという意味における防御を言うのです。

ここでまず守らなければならないこととは何でしょうか。天が地から攻撃を受けるようになるとすれば、この時は直接、天が攻撃するでしょう。その目的は、世界を守ろうということ、世界的な摂理において被害を防ごうということです。世界のために生きる神様の心情に、安息の基盤を築くことができる道を造ろうというのです。

9   これから、どんな国ももてなかった伝統を立てなければなりません。どんな国も動かせない伝統を立てなければならないというのです。このようになれば、民主世界を守れる天的な基盤が条件的にでも残ります。このような点から見るとき、私たちの国が一つになるだけでなく、多くの国の人が完全に一つになることが、個人の統一戦線を守護できると同時に、家庭、氏族、民族、国家、世界の統一戦線を守護できる天の伝統的基準になるというのです。

そのため、個人的な統一戦線守護よりも、家庭、氏族、民族、国家、世界的な統一戦線守護をどのように確保するかが、統一教会に任せられた使命です。ですから、今後、皆さんが完全に一つになり、これを成就していかなければなりません。もし、皆さんがアメリカでそのような基盤を築いて一つになれるとすれば、アメリカ全域にこのようなブームが起き始めるのです。そうすれば、共産世界は下り始めます。善が上がっていく時、悪は一緒に上がれません。下がっていくのです。

ここで事が成就されれば、日本がいくらサタン圏内にあり、韓国がいくらサタン圏内にあるとしても、救い出せる道が生じるのです。これを父母様がアメリカで、一九七二年から七四年までの三年間に計画しています。一九七四年まで、超国家的な団体として、世界の数多くの人々がアメリカ全域で活動していますが私たちがアメリカで見本になり得る団体であることを提示しなければなりません。その次からは、すべてのことがうまく解けていくと考えるのです。

10  一九七二年、七三年、七四年は「統一戦線守護」という標語のもとに、私たちは前進しています。これは、ある個人に対して語る言葉ではなく、ある限定的な地域に対して語る言葉でもなく、ある国に対して語る言葉でもありません。私たちは、全世界に対して統一戦線を守護しなければならないと、天のみ前に誓い、進み出た群れです。

統一戦線を守護しなければならないというのは、全世界と連結して神様のみ旨を成就するとき、サタン世界に侵犯を受けないように保護、育成し、前進できる立場を確保しなければならないということです。

Luke Higuchi