真の父母経 第299話

第五節   中南米を中心とした理想共同体の実現

中南米の環境資源の保存と開発

ブラジルのジャルジンと隣接したパンタナールには、太初に神様が創造した万物が、手付かずのまま残っている。真の父母様は、世界で最も大きな湿地であり、ユネスコの世界自然遺産に指定されたパンタナールが、八〇パーセント以上、本来の姿そのままで保全されていることから、ここが理想郷を建てることのできる源焦的で根源的な基地になり得ると考えられ、多くの精誠を尽くされた。そして、南米大陸で獲れる魚を急速冷凍して、世界の各地域に販売する構想も立てられ、同時に、南米に大規模な養殖場を建設しようとされた。南米は、北半球と気候が反対であるため、これを活用した釣り観光事業も構想された。

1   死の道を生命の道に変えていくのが、復帰の道です。自分を犠牲にしてこそ、生きる道が生じるのです。そのようにしようとするので、悲惨なのです。投入して忘れる神様の相対になろうとするので、仕方がありません。天は、投入して忘れてしまいました。

現在の自分を捧げて、未来の復活体を求めていくのが信仰の道です。ですから、み旨の道で最も恐ろしいのが、責任者の道です。責任者は、自らを投入しなければなりません。

真の父母様がアメリカでこのようにして成功したので、上院議員や世界的に有名な人の中に、私に会おうとしている人がたくさんいることを知っています。ですから、誰も顧みない南米の谷間や農村に行って過ごすのです。水がある所、草がある所、神様が創造した時と同じ原始的根源を訪ねていきました。自然に帰るのです。復帰です。その水を愛し、草を愛するのです。

神様がそれを一つ一つ造るのに、どれほど苦労したでしょうか。川にはありとあらゆる種類の魚がいますが、神様はそれを造って、悲しんだのではなく、喜んだのです。統一教会の皆さんは、一ヵ月間、魚を獲って食べたならば、その代わりに榖物や餌を一抱えずつ持ってきて、養ってあげなければなりません。それが循環法度です。

2   南米に二千へクタールほどの土地を買い、今、農場を営んでいます。そこで暮らすようになれば、自給自足をすることができます。現在の農場を経営しながら、自給自足をするのです。そこで本当に驚くべきことは、熱帯地方の果物の木は、育たないものがないということです。私たちはその農場を買う前、農場の主人がいないときによく行ったのですが、庭に熱帯の果物の木々がすべて植えられていました。鶏たちが歩き回る庭に植えてあったのです。パイナップルの甘い香りが豊かに漂っていました。しかし、そのまま放置していたのです。

「パイナップルなのに、なぜこのように放っておくのか」と聞くと、「ただ放っておくとは、どういうことか」と言うのです。食べられるようになれば、切って食べるというのです。また、非常に小さい種類のバナナが実るバナナの木ばかりがありました。そこでは、大きいバナナには目もくれません。「おいしいバナナを持ってきなさい」と言えば、小さな物を持ってくるのです。熟したバナナの木の下に行けば、どれほど香りがするか分かりません。そこで自然にできたその実を取って食べるだけでも、飢え死にしないのです。そのような環境で飢え死にするというのが不可解なのです。それは指導者がいないからです。

3   南米に行ってみて驚くことは、普通、松の木のようなものを使おうとすれば、五十年以上たたなければならないのですが、そこで育つ木は五年たっただけでも非常に太くなるので、使うことができるということです。高さが十五メートルほどになります。それを見て驚きました。その木は、質も悪くありません。

黒檀(こくたん)は、南米の熱帯地方に生える高価な木です。その木で杭を造って打ち込んでおけば、百年から百五十年はもちます。それは喜ばしい知らせです。そのような木を、五年ないし十年で一度切って売ると考えてみてください。そのお金はどれほどになるでしょうか。

現在、原始林が生い茂っています。それが九億坪を超えるのです。十億坪に近いその土地に、完全に原始林がびっしり生えています。そして、製材所を造って、木を切るやいなやすべて製材してしまうのです。そのようにして、三ヵ月以上たてば、完全に住宅用の材木として使うことができます。ですから、組み立て式でちょうど良い理想的モデル住宅を造っておき、あとから煉瓦(れんが)を焼いて貼り付けさえすれば、現代式住宅をいくらでも造ることができるのです。

4   ブラジルで使う木材は、パラグアイから運搬してきています。この原始林の木の値段だけでも大変なものです。済州島の三倍以上になるその土地に、木がいっぱいに生えています。その木さえ切って家を建てるようになれば理想的な家を立派に建てられるのです。自分たちで、組み立て式で建築して、それを売ることにより牧場も造れるほど、すべての資源が十分にあると考えるのです。

5   神様が環境を創造しました。ですから、統一教会も伝道するときには、まず環境を創造しなければなりません。それで、お父様が南米に来て、環境を創造するのです。理想的農地、理想的山林基地、理想的水産業基地、理想的産業基地をすべて準備して、それを収容するために三万坪を超える土地に家を造るのです。これは、世界の統一教会の皆さんが行くことのできる標本です。

アフリカに行っても、どこに行っても、働かなければなりません。水がある所では養殖をしなければなりません。土地があれば、木を植えなければならないのです。世界は今、酸素のことで問題になっています。アマゾン川流域の樹木を伐採しようとすると、ヨーロッパが「酸素不足が問題になる」と言って伐採をさせないので、アマゾン川流域を開発するブラジルは、「それに対する弁償金が欲しい」と言って、甲論乙駁している状況です。ですから、この土地に、空き地がないように木を植えるべき時が来ました。山林を育てておかなければならないというのです。

6   自然環境の恵沢を受けられる所が南米です。南米のすべての地域を知って、次第に着地し、水に対する管理問題、地域に対する開拓問題を解決して、新文化都市ではなく、農村と連結した自然文化村を造らなければなりません。そうすれば、公害問題はありません。ですから、水源地、水がある地域を占領する人が、今後の世界をリードするというのです。

7   ウルグアイに牧場を造ろうとするのは、何のためでしょうか。ブラジルやウルグアイには、牧場を運営して自給自足できる豊富な資源があるからです。ここで繁殖した子牛たちを世界百六十ヵ国に分け与え、そこで育てて自給させるのです。お金であげれば、使ってしまってなくなりますが、牛はどんどん増えていきます。そのようにして、ある峠さえ越えていけば、世界が生きるというのです。

ですから、皆さんも牧場の主人になり、農場の主人になれます。その次に、水産業もすることができ、釣りのような趣味生活を、どこに行っても楽しめる世界版図になるのです。私たちが初めてパンタナールに行ったとき、千へクタールの土地が七十万ドルでした。牛七百頭に農場まで合わせて七十万ドルだったのです。そのような所がパラグアイです。鶏も育てながら、みなそのようにしています。理想的な故郷や国を造れるように、私がすべてコーチしようと思います。

そこの農場の中で幼稚園を造り、中学・高等学校を造り、大学を造ることができるのです。そのようにすれば、それこそ、五色人種(すべての人種)が一緒に暮らせます。そうして、百六十ヵ国の人々が来て訓練を受けたあと、各国に帰り、故郷の郷土を開発すれば、再創造が起きるのです。そこで釣りも、狩りもすることができます。そのような世界的なものを準備しているのです。

8   私は、養殖場を運営しようと思います。今、(私たちが)日本で活魚料理をするようになったのは、私がコーチしたからです。私のアイデアです。ろ過装置をつけて、水槽の水を長時間使用できるようにしたのも、私たちが研究したのです。そして、アラスカで釣ったキングサーモンやシルバーサーモンのような高価な魚たちを、殺さずにどのように生きたまま日本の市場にもってきて売るかという問題を研究中です。活魚は、死んで冷凍された魚より、三倍ないし五倍は高く代金を受け取ることができます。

養殖場がなぜ必要なのでしょうか。人々が活魚を願うからです。海で獲るものだけでは、すべてを供給することができません。釣りをして、生きたまま供給することもできますが、養殖をして活魚を補給しなければなりません。このようになれば、これからは家庭や村にまで私たちのタンクを造って配置し、そこに責任者を立てて、一年に魚を何パウンドもっていったのか、それだけ計算し、代金は半年に一度ずつ、銀行を通して決済するようにするのです。そのようにしておけば、その次からは、人々が「魚を買って食べてはいけない」と言っても、買って食べるようになります。負担があまりないというのです。そのような組織をつくることによって、経済的な流通構造ができると考えるのです。

観光公園のような所に、そのようなものを大きく造っておき、責任者を一人立てて任せておけば、商売になるようになっています。それだけではありません。刺身にして、いくらでも売ることができるのです。

9   パラグアイ川で魚を釣れば、すべてを食べることもできずに、腐らせてしまいます。ですから、そこの川を中心として、私たちのメンバーが釣り観光を案内しながら魚を買い、川辺の大きな冷凍室に集めて、日本やヨーロッパ、中国に売ろうというのです。急速冷凍をするので、解凍すれば、それは現地で釣った魚と同じです。一万トン以上になる船で、太平洋と大西洋で釣った魚だけでなく、六大州に百六十ある私たちの基地で育てて捕まえた魚も四方に運び、反対側の地域に送るのです。魚がここにいる時は北にいなくて、北にいる時はここにいないので、交替で分配して、いくらでも経済的基盤を築くことができます。

10  南米の山がない地域では、水で完全にコントロールすることができます。井戸は、地下水が流れる所を掘らなければならないのであって、他の所を掘れば、いくら掘っても水が出てきません。ですから、水を売るだけでも暮らしていけるのです。海水を水蒸気にして、水をいくらでも作ることができます。

今の科学の力、エンジンの力を中心としてトンネルを掘り、一里、十里、百里離れた所に養魚場のビルを造ることができます。ニューヨークの貿易センタービルより高いビルを建てて、魚の養殖をすることもできます。パンタナールには魚が数百種類いますが、それをビルで養殖し、コンピューターにデータを入れてボタンさえ押せば、通り過ぎる人がいつでも、望みどおりに買って食べられるようにするのです。ピチピチ跳ねる魚を刺身にして食べられる場所を造るのです。

11  お父様は、南米に特別な関心をもっています。ですから、冬の季節に魚がどのように動くかをチェックしています。観光産業を誘致しようとすれば、四季をどのように活用できるかが問題です。特に、いつも冬が問題です。

四季さえしっかり連結できるとすれば、本格的に観光産業として展開させなければならないと思うのです。さらに、アラスカのコディアクとここは、反対の地域なので、一方は避寒に行く反面、もう一方は避暑に行きます。入れ替わるのです。どのように北半球と南半球を交差させ、季節を克服するかが問題です。

釣りをしても、夏にしていたことが冬には滞ります。これを一年中するには、どうすかというのです。それで、コディアクにいる人々を連れてきて、チェックしようと思います。例えば、韓国では夏が暑い時期です。ですから、コディアクに行ってもよいのですが、「南米は夏ではなく冬だ。だから行ってみよう!」と言うのです。そうして、比べてみるのです。韓国人に、春夏秋冬を入れ替えて感じさせられる、そのような基盤を築こうというのです。そこに合わせて、このような観光施設を運営するようになれば、春夏秋冬、どこででも活用できます。

Atsuki Imamura