イエス様の生涯と愛 第8話
それで母のリベカは、天側の息子であるヤコブと一つになり、自分の夫であるイサクを天使長の立場に立てたのです。そうして、天使長の長男であるカイン格のエサウが受けるべき祝福を奪って、天側に取り戻したのです。このとき兄のエサウは、ヤコブを殺そうとしました。それゆえヤコブは、ハランに逃げて、そこで二十一年間過ごすようになったのです。
そのようにしてヤコブは、兄エサウと交渉がうまくいき、命が助かったのです。自らの僕たちと、二十一年間にためた財物をお兄さんに与えてエサウの心を動かし、結局エサウは、ヤコブを殺さずに迎え入れるようになったのです。そうなることによって、死ぬべきカインのような立場ですが、死なない立場に立ったので、結局ヤコブは、エサウが屈服したという条件を立てたのです。そうして初めて「イスラエル」、すなわち「勝利した」という民族圏をもつことになったのです。
ヤコブは、ヤボク川で天使と組み打ちして勝利しました。それはアダムが霊的天使に敷かれて失敗したことをひっくり返し、人が天使を下に敷いたという条件を立てたのです。このように天使長の実体と同じ立場にあるエサウが、ヤコブに屈服する内的基準をヤコブが既に立てたので、外的なエサウも屈服するという結果をもたらしたのです。聖書を見ても、すべて否定できない事実です。
今から数千年前にあったことです。旧約聖書は、およそ八百五十年の間、数多くの人々の手によって記録されたものですが、このような体系を中心に記録されたということは、一つの思想的な主人がいて、預言者を通して記録したに違いないのです。ですから、「神はいない」とは言ってはいけません。
双子のエサウとヤコブが闘って、どちらが勝ったでしょうか。ヤコブが勝ったでしょう?それゆえに(カインとアベルが)ひっくり返ったでしょうか、ひっくり返らなかったでしょうか。ひっくり返ったのです。何歳ぐらいにひっくり返りましたか。四十歳を過ぎてからです。四十歳を過ぎてから双子で生まれた兄弟がひっくり返ったのですが、生まれる前、腹中においては、まだひっくり返っていません。それでサタンがかみついてくるのです。
タマルを通した腹中復帰摂理
アブラハム、イサク、ヤコブ、三代目のヤコブにユダという息子がいます。ユダ支派を形成したユダは、ヤコブの四番目の息子です。四番目というのは、東西南北、春夏秋冬というように四番目から四方の基準が現れて、春の季節を迎えるようになるのです。それで四番目の息子が祝福を受けるのです。
ユダに嫁がいました。誰だか知っていますか。タマルです。タマルがユダの長男に嫁いできたのですが、その長男が子孫もいないまま死んでしまいました。ユダヤの国では、その昔、祝福を受けた血統は途絶えてはいけませんでした。また、女性が子孫を残せずに死ぬというのは、女性としての道理ではなかったのです。そうなれば、祝福を台無しにする女性になるのです。
それでユダヤの国の法には、兄が子供を生めずに死んだ場合、その兄嫁を弟が引き継いで迎えるようになっていました。それは悪いことではないのです。祝福を受けた女性を捨ててはならないことになっていました。外国に送り出してもいけませんでした。サタン側に送り出すことはできないということです。
それゆえ、弟が兄嫁を迎えて暮らしたのです。しかし、その弟も死にました。ですからタマルは、自分の一代において祝福された血族を残せないことに対して、命を失うこと以上に苦悩するようになりました。自分は死んでも、どうにかして祝福された血族を残さねばならぬという使命感、神様の祝福を残す道を追求する思いが、タマルは誰よりも強かったのです。
それを成し遂げる道があるならば、体面も顧みず、生死も意に介さず、命を懸けて行くという立場でした。そのような立場に立ったので、「大変なことになった」と思い、自分の舅と関係を結ぶ計画を立てたのです。それでタマルは、舅が羊の毛を切るために行き来する所を知っていたので、道端で遊女のように仮装をして舅を誘惑したのです。そうして舅と一つになって子を身ごもるようになりました。